「LCC vs プロ障害者」から考える空のバリアフリー
もうすっかり議論が進んだこの問題を、何の影響力もない私めが今さら取り上げます。
どうまとめようか…と思っているうちにあれよあれよと論戦が進み、有益無益の様々な情報が流れ、すっかり迷いの境地にハマりこんでいました。
様々な情報の引用を貼ろうかとも思いましたが、とりあえずやめます。
私の個人的な結論です。
バニラ・エアは、奄美空港乗り入れの際、料金抑制の一環として沖留めという形態をとったなら、就航と同時にボーディングスロープを取り入れるべきだった。その不作為は合理的配慮に欠ける対応だった。今後の対応として早急にボーディングスロープ導入すべし。
木島氏との一件を受けて導入することとなったアシストストレッチャーはボーディングスロープに劣る対応です。ボーディングスロープ導入までの次善策としていただきたい。
今回のこの件での論戦で残念なのは、結局障害者と社会のカベが浮き彫りになって、弄ばれて終わっちゃったこと。
障害者 vs 健常者
障害者 vs 社会インフラ
障害者 vs 企業
そんな対立構造からは何も生まれない。
互いに認め合い、互いに自由が保証されるにはどうしたらいいか。本質的な合理的配慮とは何かということの議論が深められたらよかったのに。
今回、木島氏が事前連絡をしなかったことの是非を問う声もあった。
事前連絡をすることで門前払いを食わされるのは完全に合理的配慮の欠如であり、その点、今回のバニラ・エアが批判を受けるのは当然だ。
しかし、事前の連絡がないことで「連絡があればできる配慮ができない」ことまでが合理的配慮に欠ける対応と言えるのか。
「車イスの人は事前に連絡することなしに旅行もできないのか」という声も聞いたけど、してほしい配慮があるなら連絡するのが当たり前だと思う。
食物アレルギーのある人が会食やパーティーに参加する際には、除去食対応について事前に連絡する。
子連れで行っていいか迷う場所に出向く際には、可否や必要な対応について事前に連絡して相談する。
大人数でお店を利用する際には事前に連絡して必要ならば予約する。
だったら、下肢に障害がある人が、してほしい配慮や自身の障害について事前に連絡して依頼や相談することだって特別なことではない。
「健常者なら当たり前にできることが当たり前にできないことがハンディである」ことが事実だからこそ、そのハンディを周囲の配慮でどう解決し克服していけるかが今後ますます問われていくべきだろう。その際に事実の連絡や相談が必要なことが差別だとか合理的配慮に欠ける対応だという意見には首肯しかねる。
障害者が社会にへりくだる必要はない。だからこそ、当然の権利として求めるべき配慮を堂々と、でも可能な限り事前に求めていくべきだ。
とはいえ、ケース・バイ・ケースではあるんだけど。
だから難しいんだけど。