「教師を減らすな!」の説得力
財務省が、予算編成に当たって教員の削減を打ち出したことに、文科省や教員、教育関係の団体などが反発しているという状況です。
財務省としては、限りある税金を効率的に配分する使命があり、少子化でこどもが減っていくんだから、今の基準と照らせば教員は減らせるだろうという論理でくる。
文科省以下、教育諸団体としては、こどもの数は減っても教育課題が多様化、複雑化しているうえ、教員の勤務実態が苦しい中、機械的に削減するとは受け入れ難いという論理で返す。
残念ながら、説得力で言ったら、財務省に分があると言わざるを得ません。
なぜなら、数で目に見える根拠があるからです。
「どういった課題に、どのような配置で教員を当てることが効果的で、地域の実態を考えてこれだけの教員が必要であり、そのためにはこれくらいの予算を割いてほしい」
というような具体的な根拠がなくては、結局財務省と文科省のパワーゲームで、こどもの姿が見えないままに予算編成が進んでいってしまいます。
国の宝であるはずのこどもにかかる予算が少ないのは、財務省に理解がない以上に、文科省に説得力がないからだと思います。
説得力を持つためには、
・海外の事例を研究し現場に下ろす
・根拠を得るための実験をする
・実験に堪えうる教員育成をする
・全国一律の基準を取っ払う
などなど、文科省以下教員諸団体、研究機関がタッグを組んで取り組んでいかねばなりません。
そういう姿勢がないから、「文系学部はいらない」なんて暴論がまかり通ってしまうんです。
こういった根拠を、慶応大学の中室先生は「科学的根拠=エビデンス」と呼び、これからは教育に経済学の見地を取り入れていくべきと唱えています。
今の基準でも、新しい手法や方策に取り組んで成果を上げている先生もいます。
一方で、少子化で結果的に少人数クラスになっても崩壊している学級もあります。
ただ感情的、感覚的に「教師を減らすな!」という声にどれだけの説得力があるか、教育に職として関わる私たちは、もっと内省する必要があるのかもしれません。