いじめっ子は悪人なのか
いじめは被害者の心で決まると書いた。
では、加害者のことはどう捉えるべきか。
いじめの撲滅が度々クローズアップされ、決まって使われるフレーズがある。
「いじめはあってはならない」
「被害者を全力で守る姿勢が大切」
その度感じるのが、加害者に対する教育的視点の欠如だ。
いじめは許してはいけないが、それはあくまで行為としてのいじめであって、加害者の存在や心理まで一方的に断罪するべきではない。
いじめは悪だが、いじめっ子は悪人ではない。
その線引きができなければ、いじめっ子が教育の対象から外れてしまう危険性を孕む。
いじめられっ子に寄り添うのと同じように、いじめっ子の心にも寄り添い、いじめっ子がいじめに及ぶに至る心理を丁寧に紐解くことをしなければ、いじめの根本的な解決は望めない。
また、いじめられっ子を守る姿勢は大切だが、それにばかり目を奪われると、他のいじめに気付く感度が鈍ってしまう。
いじめにおける加害者と被害者は、実は容易に変遷し得るし、時には逆転してしまう場合もある。
表層的な解決を繰り返しても、いじめの根本的解決はない。
学齢期の子どもたちは、誰もが教育の対象であることを忘れてはならない。